先生の笑顔と健康を守るために。教員の負担を軽くする働き方改革とICT活用
目次
多くの子どもたちと向き合う教員の皆様にとって、長時間労働は切実な悩みではないでしょうか。国も教員の働き方改革を掲げていますが、現場ではなかなか変化を実感できないという声も聞かれます。
この記事では、教員の働き方改革の目的やメリット、国が進める制度、ICTを活用した業務改善の具体例と事例を紹介します。ぜひ最後までお読みください。
教員の働き方改革の目的とメリット
まずは働き方改革の目的と、実現したときのメリットを紹介します。
OECD加盟国等55か国・地域(初等教育は16か国・地域)が参加した調査である、OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2024の調査結果をもとに、解説していきます。
長時間労働を減らして教員の健康を守る
日本の小中学校教員の労働時間は減少傾向にありますが、1週間あたりの仕事時間は調査参加国の中で最長です。
仕事時間と内容を見直し、リフレッシュや休息の時間を確保することは、教員の心身の健康を守るために必要不可欠ではないでしょうか。
事務業務を削減して教育の質向上
日本の教員の仕事時間が長い要因の一つに、事務業務が挙げられます。
働き方改革によって事務業務を効率化することで、授業準備や教材研究、より丁寧な子ども達のフォローが可能です。教育に直接関わる業務に充てられる時間が増えることで、結果的に教育の質向上が期待できます。
ワークライフバランスの実現と離職防止
仕事時間が減少すれば家族と過ごす時間や趣味の時間を持つことができ、育児や介護との両立もしやすくなります。プライベートが充実して、しっかりと休息をとることができれば、仕事へのモチベーションも自然に高まっていくでしょう。
また、労働環境が改善されれば「教える仕事は好きだけど続けられない」という理由での離職を防ぐことができ、昨今問題になっている教員不足の解決にもつながります。
教員の働き方改革が進まない理由と課題
「働き方改革が必要」と理解されている一方、現場では状況が変わらないのが現実ではないでしょうか。
ここからは、働き方改革が進まない理由と、学校が抱える課題を紹介します。
教員の業務量の多さ・部活動の負担
日本の教員は業務量が多く、範囲も幅広いです。
日本の教員の業務内容
- 授業・授業準備
- 給食指導
- 清掃指導
- 生徒指導
- 集金
- 保護者対応
- 部活動などの課外活動
特に中学校・高校では部活動などの課外活動が長時間労働の大きな要因で、以前よりは減少しているものの、土日や長期休暇期間も休めない教員もいます。「子どものため」という使命感から仕事を抱えてしまい、業務の削減が進みにくい構造があります。
アナログ業務の定着
「保護者と学校間の連絡手段は電話」「おたよりは紙で印刷して配布」など、アナログ業務が定着しています。
近年、GIGAスクール・校務DXの流れでICTシステムの普及も進んでいますが、実態としては、
ICTシステムの利活用で時間短縮できる作業も、業務フローを変えることへの抵抗感や導入コストへの懸念から、アナログ業務を続けている学校も少なくありません。
教員不足の深刻化
先ほど紹介したOECD国際教員指導環境調査(TALIS)2024の調査結果によると、質の高い指導を行う上で「教員の不足を感じる」と回答した校長の割合は、前回2018年調査と比べて増加しています。特に小学校で教員不足を感じている割合が増え、2018年調査時の19.2%から、2024年調査では40.7%に増加しました。
教員の仕事はやりがいがあるものの、業務量や心身の負担が多いこと、業務内容に対して収入が見合っていないことなどから、教員志望者は減少しています。教員採用試験の受験者数はここ10年ほどで数万人減少し、全国的に教員不足が深刻化しています。
教員の働き方改革を進める取り組み
これまでお伝えした状況を踏まえ、国も法律や制度の改正を通じて働き方改革を進めています。
この章では、文部科学省や内閣府が進める制度や法改正を紹介します。
給特法の改正
教員の働き方の実態を踏まえ、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)が、2025年に改正されました。教員の働き方を見直し、教職の魅力向上と教育の質の維持向上を図る意図があります。
このあとに紹介する、勤務時間の上限に関する指針や、1年単位の変則労働時間制の導入などのほか、次の内容が盛り込まれています。
業務量管理・健康確保措置実施計画の義務化
教員の働きすぎをなくすために、国や教育委員会、地域、保護者などが連携して取り組みを続け、2029年度までに月の時間外勤務を平均30時間程度におさえることを目指します。
処遇改善
改正給特法を踏まえた処遇改善として、教職調整額の4%から10%へ段階的に引き上げることや、学級担任への手当の加算等が示されています。
参照:「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議において可決され、成立しました(文部科学省)
勤務時間の上限設定
在校等時間から所定の勤務時間を除いた時間(時間外在校等時間)の原則的な目安が設定されました。
在校等時間に含まれるのは、学校に在校している時間が基本ですが、次のような校外での業務も含まれます。
- 職務として行う研修
- 児童生徒の引率等の時間
- 地方公共団体が定めるテレワークの時間
休憩時間や自己研鑽・業務外の時間、自宅などへの持ち帰り業務は在校等時間には含まれません。ただし、上限時間を守るためだけに持ち帰り業務が増加することは、避けなければならないとしています。
参照:公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン【概要】(文部科学省)
公立学校の教育職員における 「休日のまとめ取り」のための 1年単位の変形労働時間制(文部科学省)
変形労働時間制
2021年度から地方公共団体の判断により、繁忙期の勤務時間を長くする代わりに、長期休業期間などに休日をまとめて取れる「1年単位の変形労働時間制」が導入可能になりました。メリハリのある働き方で、教員のリフレッシュと教育の質向上を目指します。
変形労働時間制の導入には、次のような条件があります。
- タイムカードやICT活用など、客観的な方法で在校等時間を把握する
- 始業から終業までに一定時間以上の休息時間を確保する
- 長期休業期間等における業務量の縮減を図る
- 育児や介護を行う教職員への配慮(適応しない選択も可能)
部活動の地域移行
教員の負担になりやすい、部活動の休日指導などを、地域や外部の指導員に任せていこうという国の方針です。
地域全体で子ども達を育てる仕組みに変えることで、教員の休息を確保しつつ、子ども達がスポーツや文化芸術活動に親しむ機会を確保するねらいがあります。
校務分掌の見直し
教員しかできない業務に集中するために、校務分掌を見直す動きがあります。
- 地域・行政へ:登下校の見守り、集金業務など
- 支援員・事務職員へ:清掃、部活動の指導、プリント印刷など
- ICTシステムや支援員へ:出欠管理、授業準備、採点作業など
これまでは担任が行っていた業務を、支援員や地域などが担います。特定の教員に負荷が偏らないように、校長や教育委員会が調整する責任があります。
DX推進
教員が事務作業に追われる時間を減らし、子ども達と向き合う時間を増やすために、ICTツールなどを活用した校務DXが推進されています。
【 例 】
- 欠席連絡や出席簿のデジタル化
- おたよりや会議資料のペーパーレス化
- アンケートの集計作業を自動化
ICT活用で教職員の働き方改革!具体的な業務改善と成功事例
ここからは、DX推進の面でも推進されているICTシステムを活用し、業務改善できる内容と成功事例を紹介します。
出欠連絡とおたよりのデジタル化
欠席・遅刻・早退の連絡をシステム上で行うと、朝の電話対応が減少し、授業準備や事務作業に集中できます。連絡が入ると出席簿にも自動で反映されるため、伝達・転記ミスがなくなることもメリットです。
保護者は24時間いつでも連絡できるようになり、利便性が向上します。
また、おたよりもデジタル化すると印刷・仕分け・配布の手間がなくなり、ペーパーレス化で用紙代・インク代などのコスト削減ができます。
紙のおたよりは紛失や渡し忘れのリスクがありますが、保護者に確実にお知らせが届くことも安心です。
事例①
埼玉県立大宮高等学校では、朝の電話連絡を職員が週番で担当していましたが、欠席連絡をアプリで行うことにより電話当番が不要になりました。現在はアプリの登録が100%となり、朝の電話はかかってきても1日数本程度まで減少しています。 PTAのお知らせ配信やアンケートにも活用し「業務が楽になって助かった」と喜ばれています。
事例②
大阪成蹊女子高等学校では、毎朝100件近くあった欠席・遅刻の電話連絡をアプリに移行しました。電話対応の負担がほぼゼロになり、教員が授業準備や教材研究に使える時間が確保できるようになりました。
さらに、お知らせ機能・アンケート機能などを活用することで、書類の配布・回収・管理の手間を削減し、ペーパーレス化と業務効率化を実現しました。
▽詳しくはこちら
https://www.buscatch.com/chimelee/voice/osaka-seikei/
アンケート集計の自動化
行事の出欠や面談の日程調整などのアンケートを、保護者が回答後に自動で集計できるシステムもあります。アンケートの印刷・配布・回収の手間や、集計業務がなくなるため、事務業務の効率化につながります。
保護者もスキマ時間に回答でき、未回答者にはリマインドが行えるシステムもあるため、回収率の向上が期待できます。
スクールバス名簿作成・乗降車管理
子ども達の安全に直結するバスの乗降管理は、非常に大切な業務です。一方で、毎日利用の有無が変動し、保護者から運行状況の問い合わせなども発生するため、負担が多いと感じている方も多いのではないでしょうか。
ICTシステムを活用すると、欠席連絡とバス利用の有無が名簿に自動で反映され、名簿への転記作業が不要になります。
また、GPSを使用したバス位置情報の配信を行えるシステムでは、保護者のスマートフォンなどからリアルタイムの位置情報を確認できるため、電話での問い合わせが減少します。
事例③
千葉県の東庄町立東庄小学校では、毎日保護者が記入するバスカードの内容を、表計算ソフトで作成したバス名簿に転記していました。しかし、カードを見ながら一人ひとり記入するため、出欠確認と照らし合わせる必要があることから、時間と手間がかかっていました。システムを導入し、出欠連絡とバス利用希望をアプリで一元管理できるようになり、バス名簿作成の作業時間は約4分の1に短縮。朝の電話対応も3分の1ほどに軽減され、業務効率化が実現しました。
Chimelee(チャイムリー)で保護者連絡をシステム化
Chimelee(チャイムリー)は保護者と学校をつなぐ連絡システムで、毎日の欠席・遅刻・早退連絡、お知らせ配信、アンケート機能などの必要な機能がそろい、誰にでも分かりやすく簡単に画面操作ができることが特徴です。
安心のセキュリティ対策
個人情報を扱う学校現場において、セキュリティ対策は非常に重要です。
Chimeleeの運営会社であるVISH株式会社は、国際規格であるISMS認証やISO/IEC27001、プライバシーマークを取得しています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「情報漏洩や誤送信を防ぐ!Chimeleeの情報セキュリティ対策」
https://www.buscatch.com/chimelee/blog/column/2025-06-18-2/
導入後も手厚いフォロー
導入前のご相談や無料デモのほか、導入決定後は打ち合わせや職員向けの説明会を行います。
システム運用後も電話での問い合わせや操作のサポートにも対応し、手厚いフォローも評価されています。
まとめ:ICTシステムを活用して働き方改革を進めよう
教員の働き方を変えるためのスタートは「担任一人で何でも抱え込まない」という考え方に切り替えることです。まずは業務を見直し、支援員や地域の人たちと協力して、チームで動く学校へと変えていくことが大切です。
さらに ICTシステムを活用することで改革は一気に進みます。 アナログな作業はシステムで効率化し、教育の質向上と、教員のワークライフバランスを実現させていきましょう。
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