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コラム

【2026年度】学童保育の処遇改善事業とは|要件・対象・賃金改善額・申請時の注意点

【2026年度】学童保育の処遇改善事業とは|要件・対象・賃金改善額・申請時の注意点

学童保育の処遇改善事業加算について「どのような制度なのか知りたい」「自施設でも活用できるのか確認したい」と考えている運営者の方も多いのではないでしょうか。

学童保育の指導員は、こどもの安全を預かる責任の重い仕事ですが、長年にわたり給与水準の低さが課題とされてきました。こうした状況を改善するために設けられているのが、処遇改善事業加算です。

この記事では、こども家庭庁の資料をもとに、処遇改善事業加算の概要や要件、賃金改善額の目安、申請時の注意点を解説します。自施設で活用できる制度かを確認し、指導員が安心して働き続けられる環境づくりの参考にしていただければ幸いです。

なお、2026年7月時点の情報をもとに執筆しています。制度の内容は年度ごとに見直される場合があるため、最新の情報は自治体へご確認ください。

目次

◆学童保育の処遇改善事業加算とは?制度の概要

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学童保育の処遇改善事業加算は、放課後児童クラブで働く職員の賃金改善を目的として、国や自治体が補助を行う制度です。まずは、制度の概要を解説します。

【参照】こども家庭庁「『放課後児童健全育成事業』の実施について

◎学童保育の処遇改善事業加算の目的

処遇改善事業加算の主な目的は、放課後児童クラブで働く職員の賃金を改善し、質の高い人材の確保と定着につなげることです。

学童保育では、こどもたちの生活を見守るだけでなく、安全管理や保護者対応など、多くの役割を担っています。一方で、パートやアルバイトを含む非常勤職員の割合が高く、収入面の不安定さが離職につながるケースも少なくありません。こうした背景を踏まえ、常勤・非常勤を問わず職員の賃金改善に取り組む放課後児童クラブを支援する仕組みを整えています。

また、単に給与を引き上げるだけでなく、勤続年数やキャリアアップの取り組みに応じて段階的に処遇を改善できる点も特徴です。職員の定着だけでなく、学童保育の運営の安定にもつながるでしょう。

◎処遇改善事業加算で給与はいくら上がる?

処遇改善事業による賃金改善額は、制度ごとに算定方法が異なります。

施設に支給される補助額と、職員個人の給与(賃金改善)の目安は以下の通りです。

制度名 施設への補助額 給与(賃金改善)の目安
放課後児童支援員等処遇改善等事業 国庫補助基準額3,768,000円を上限に、クラブの人件費状況に応じて算定 施設の実情に応じて決定
(明確な上限・下限はなく、ベースアップや手当、賞与などで支給)
放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業 支援の単位ごとに919,000円を上限に算定 年額約13.1万~39.4万円程度(月額約1万~3万円)
※経験年数や研修実績などに応じて段階的にアップ
放課後児童支援員等処遇改善事業 賃金改善対象者数×規定の補助基準額をもとに算定 月額9,000円*相当(収入の3%程度)

*月額9,000円相当は賃金改善全体の目安です。実際の引き上げ額は、施設が職員の経験年数や職務内容などを考慮して決定します。

制度ごとに補助額の目安や算定基準は定められていますが、実際の給与の引き上げ額は、施設の状況や賃金改善の進め方によって異なります。自施設で活用できる制度や補助額の目安は、自治体の募集要領や案内を確認してください。

【参照】
こども家庭庁「令和8年度「放課後児童支援員等処遇改善等事業」の交付額の算定方法について
こども家庭庁「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業

◎学童保育の処遇改善事業加算を活用するメリット

処遇改善事業加算は、職員の給与を引き上げるだけでなく、人材確保や職場づくりにも役立つ制度です。

給与や手当を改善することで求人時の待遇を充実させられるほか、経験年数や研修に応じて段階的に処遇を改善できる制度を活用することで、職員が将来のキャリアをイメージしやすくなります。職員が安心して長く働ける環境づくりを後押しし、結果として学童保育の運営を安定させることにもつながります。

◆学童保育の処遇改善事業の要件と対象者

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処遇改善事業を活用するには、施設と職員の両方が一定の要件を満たす必要があります。ここでは、対象となる施設や職員、申請前に確認しておきたいポイントを詳しく見ていきましょう。

【参照】こども家庭庁「『放課後児童健全育成事業』の実施について

◎対象となる施設・事業

処遇改善事業の対象となるのは、児童福祉法に基づく「放課後児童健全育成事業」として、市町村の条例で定める基準を満たして運営されている放課後児童クラブです。

放課後児童健全育成事業として市町村への届出を行い、職員配置や開所日数などの基準を満たしていれば、次のような運営主体も対象になります。

・社会福祉法人
・NPO法人
・保護者会
・民間企業

一方で、放課後子供教室など、放課後児童健全育成事業に該当しない事業のみに従事する職員は、原則として対象外です。放課後子供教室と連携して運営している場合も、補助の対象となるのは、放課後児童クラブの業務に従事している職員に限られます。

【参照】こども家庭庁「令和8年度 放課後児童健全育成事業に係るQ&A

◎対象となる職員

処遇改善事業の対象となる職員の範囲は、活用する制度によって異なります。

主な対象は放課後児童支援員ですが、制度によっては補助員や事務職員、その他の放課後児童クラブに従事する職員も対象となります。キャリアアップ処遇改善事業では、経験年数や研修受講などの条件を満たす必要があります。なお、理事や監事など、法人の経営に携わる役員は原則として補助対象外です。ただし、役員を兼ねていても、実質的に給与決定権を持たない場合や、放課後児童支援員等として勤務している部分については、対象となるケースもあります。

【参照】こども家庭庁「令和8年度 放課後児童健全育成事業に係るQ&A

制度ごとの対象職員や条件については、後ほど詳しく解説します。

◎申請前に確認したい自治体ごとの要件

処遇改善事業は国の制度ですが、運用方法には自治体ごとの違いがあります。

キャリアアップ処遇改善事業では、経験年数に応じた研修の受講が要件のひとつになっています。対象となる研修は「都道府県や市町村が実施するもの」「市町村が同等の内容と認めたもの」のため、対象となる研修の種類は自治体によって異なります。事前に最新の通知などで要件を確認しましょう。

◆学童保育の処遇改善事業制度3つ

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ここからは、学童保育の処遇改善事業の3つの制度を詳しく解説していきます。制度を適切に活用するために、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

【参照】
こども家庭庁「『放課後児童健全育成事業』の実施について
こども家庭庁「令和8年度「放課後児童支援員等処遇改善等事業」の交付額の算定方法について
こども家庭庁「令和8年度 放課後児童健全育成事業に係るQ&A

◎1.放課後児童支援員等処遇改善等事業

放課後児童支援員等処遇改善等事業は、2013年度の賃金水準と比較して、職員の賃金改善に取り組んでいる放課後児童クラブを支援する制度で、基本的な賃金水準の引き上げを目的としています。

また、18時30分を超えて開所するクラブなどに対して、職員の賃金改善に必要な費用を補助することで、放課後児童健全育成事業の質の向上を図ることも目的としています。保育所との開所時間の差を縮めながら、こどもたちが安全・安心に過ごせる居場所を確保し、健やかな成長を支えることを目指した制度です。

▶対象となる職員
家庭や学校等との連絡・情報交換などの「育成支援業務」に従事している職員が対象です。
また、家庭や学校との連携に加え、地域との連携・協力などの育成支援に従事する常勤職員も対象となります。

▶賃金改善を実施する職員の範囲・賃金改善の具体的な内容
どの職員を対象に、どのような方法で賃金改善を行うかは、それぞれの放課後児童クラブが実情に応じて決定します。

▶補助の対象
補助の対象となるのは、次の費用です。

・常勤職員の人件費(賃金改善分を含む)
・非常勤職員など、常勤職員以外の賃金改善分

ただし、最低賃金の引き上げに伴うベースアップ分は、賃金改善には含まれません。

▶補助額
令和8年度の国庫補助基準額は3,768,000円です。実際の補助額は、施設の人件費などをもとに算出した金額と国庫補助基準額を比較し、少ない方の額を基準として決定されます。

交付された補助金は、職員の賃金改善や、それに伴って増加する法定福利費などに充てる必要があります。

◎2.放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業

放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業は、経験年数や研修実績に応じて段階的に賃金を引き上げる制度です。経験を積み、必要な研修を受講した職員の処遇を改善することで、長く働き続けられる環境づくりを目的としています。

▶補助の対象
主な対象は、放課後児童支援員です。
ただし、支援員以外の職員にも同様のキャリアアップの仕組みを設けている場合は、定められた基準額の範囲内で補助対象に含められる場合があります。

▶補助を活用できる要件
経験年数に応じた研修の受講が要件です。おおむね3年以上・5年以上・10年以上といった区分ごとに、受講が必要な研修や賃金改善額の目安が定められています。

▶補助額
職員の経験年数などに応じて金額が設定され、支援単位ごとに上限額(919,000円)が設けられています。

職員1人あたりの補助額の目安は、以下のとおりです。

勤続年数や研修実績など 年額 月額の目安
放課後児童支援員(認定資格研修の受講) 131,000円 約10,916円
概ね経験年数3年以上の放課後児童支援員(研修受講) 198,000円 約16,500円
概ね経験年数5年以上の放課後児童支援員(研修受講) 263,000円 約21,916円
概ね経験年数10年以上の放課後児童支援員(事業所長的立場・研修受講) 394,000円 約32,833円

◎3.放課後児童支援員等処遇改善事業(月額9,000円相当の賃金改善)

放課後児童支援員等処遇改善事業は、放課後児童クラブで働く職員の収入を3%程度(月額9,000円相当)引き上げることを目的とした制度です。雇用形態や職種、勤続年数、職責などが同じ条件の場合に、2022年1月時点の賃金水準を上回るよう賃金改善を行います。

▶補助の対象
対象となる主な職員は以下のとおりです。
・放課後児童支援員
・補助員
・事務職員 など
直接こどもと関わる職員だけでなく、放課後児童クラブに従事する幅広い職員が対象です。公立学童クラブの職員や非常勤職員も対象となりますが、経営に携わる法人の役員は原則として対象外です。

▶賃金改善額
賃金改善は、すべての職員に一律で月額9,000円を支給する必要はありません。常勤職員は月額9,000円相当以上、非常勤職員は勤務時間に応じた金額を基本として賃金改善を行います。そのうえで、勤続年数や職務内容、役割などを考慮して配分を調整できます。

ただし、以下の点には注意が必要です。
・特定の職員や特定の雇用形態の職員だけを優遇するなど、合理的な理由のない偏った賃金改善は認められない
・最低賃金の引き上げに伴うベースアップ分は、制度上の賃金改善には含まれない
・賃金改善額の3分の2以上は、基本給または毎月支払われる手当の引き上げによって実施する必要がある(賞与や一時金のみでの対応は不可)

▶補助額の算定方法
放課後児童クラブ(1支援の単位)ごとに、以下の計算式で算定されます。

補助基準額(月額) × 賃金改善対象者数 × 事業実施月数

賃金改善対象者数は、常勤職員数に、非常勤職員を常勤換算した人数を加えて算出します。新規採用などで対象者数の増加が見込まれる場合は、その人数を含めて算定することも可能です。なお、常勤職員とは、施設で定めた所定労働時間に勤務する職員を指します。ただし、1日6時間以上かつ月20日以上勤務している職員は、常勤職員として取り扱えます。

◆学童保育の処遇改善事業を申請・運用する際の注意点

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処遇改善事業は、職員の待遇改善や人材定着につながる制度ですが、活用する際には制度のルールや運用方法を正しく理解しておくことも欠かせません。ここでは、処遇改善事業を適切に活用するために、申請前に確認しておきたい4つのポイントを紹介します。

◎交付金は職員の賃金改善以外には使用できない

処遇改善事業で交付される費用は、職員の賃金改善のために使うことが目的のため、消耗品費や光熱水費など、賃金以外の運営経費に充てることは認められていません。

賃金改善を行ったあとに交付金が余った場合は、原則として返還が必要です。追加の賃金改善に充てることもできますが、その場合も、基本給や毎月支払われる手当による改善が一定割合以上となるよう定められています。

◎賃金改善計画書や実績報告書の提出・保存が必要

処遇改善事業を利用するには、事前に「賃金改善計画書」を作成し、事業終了後には「賃金改善実績報告書」を提出する必要があります。実績報告では、給与規程や賃金台帳などの資料提出を求められる場合もあるため、注意が必要です。

提出した書類は実績報告後5年間の保存が必要なため、紙の書類だけで管理している場合は、保管場所の確保や必要な書類を探す手間が負担になることもあります。申請時だけでなく、その後の書類管理まで見据えて準備しておきましょう。

【参照】
こども家庭庁「『放課後児童健全育成事業』の実施について
こども家庭庁「令和8年度 放課後児童健全育成事業に係るQ&A

◎自治体ごとに要件や申請期限が異なる

処遇改善事業は国の制度ですが、具体的な運用方法は自治体によって異なる場合があります。自施設が所在する自治体の実施要綱や通知などで、最新の情報を確認しましょう。

◎勤怠・シフト管理を適切に行える体制を整える

処遇改善事業を活用するには、職員ごとの勤務状況や賃金改善の状況を正確に把握することが必要です。紙のタイムカードや表計算ソフトへの手入力で勤怠管理を行っている場合は、勤務時間の集計や確認作業に多くの時間がかかることがあります。

VISH株式会社が提供する学童保育施設向けICTシステム「Hokally(ホーカリー)」では、勤怠実績を自動で集計できます。処遇改善事業に関する必要な情報を確認しやすくなるため、実績管理や書類作成の負担軽減にもつながります。

処遇改善事業の活用をきっかけに、日々の勤怠管理の方法を見直し、職員・管理者双方の負担を軽減できる体制を整えてみるのもよいでしょう。

◆まとめ|学童保育の処遇改善事業を活用して人材確保につなげよう

学童保育の処遇改善事業は、職員の賃金改善を通じて、人材確保や定着につなげるための制度です。活用を検討する際は、まず自施設の給与体系や職員の配置状況を整理し、利用できる制度や要件を確認しましょう。そのうえで、自治体の募集要領や最新の情報を確認し、計画的に申請することが大切です。

処遇改善事業をきっかけに、職員が安心して長く働ける環境づくりを進め、学童保育の質の向上につなげていきましょう。

補助金の活用を具体的に検討している方は、以下のセミナーレポートも参考にしてください。実際の申請の流れや自治体とのやり取りのポイントなどを紹介しています。

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ライター:加野彩乃

保育士・放課後児童支援員。保育園・学童クラブの現場や、習い事教室事務の経験を経て、現在はWebライターとして活動中。これまでの経験や2児の母としての視点を織り交ぜながら、分かりやすい記事を執筆することを心がけています。

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Hokally(ホーカリー)
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