生活発表会は、こども達の園での姿を保護者に見てもらう機会の一つです。規模の大きなイベントのため、出し物の内容や準備、保護者対応に悩む保育士の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、元保育士で2児の子育て中の筆者が、0歳から5歳までの年齢別プログラム例から、準備の進め方、保護者対応について紹介します。保育士と保護者の視点を織り交ぜて解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
◆生活発表会とは?基本を知ろう
生活発表会は、こども達が園生活で経験したことや、興味・関心を持った活動を発表する行事です。
まずは、生活発表会の基本的な情報について紹介します。
◎生活発表会のねらい
生活発表会のねらいは、大きく3つに分けられます。
1.友達と協力し、達成感を味わう
友達と動きや音を合わせる経験は、協調性や社会性を育てる良い機会です。練習や緊張を乗り越えて、本番をやり遂げたあとには達成感を得られるでしょう。
2.表現力や伝える力を育てる
言葉や身体の動き、音などで、こども達の気持ちや考えを表現する力を伸ばします。
3.保護者や地域の人とのコミュニケーションの場になる
「家では甘えてばかりだけど、園ではがんばっている」「大勢の人の前でプログラムをやり遂げて、成長を感じた」など、保護者がこどもの成長を感じる大切な機会です。
また、生活発表会の内容は、園の特色が出やすいため、保育方針や保育内容を知ってもらうきっかけになります。地域の人を招く場合は、園の活動への理解や、入園希望につながる可能性があります。
◎生活発表会の開催におすすめの時期
生活発表会の開催時期は、園の年間行事やこどもたちの様子に合わせて決められますが、次の時期に行われることが多いです。
■11月〜12月
運動会を終えて、クラスのまとまりが出てくる時期です。12月に行う場合は、クリスマス会と兼ねて開催し、季節感を意識した題材を取り入れることもあります。
■1月〜2月
年度末に向けて「1年間のまとめ」として行います。クラスで取り組む行事の集大成として、よりこども達の気持ちも高まります。
冬に行う場合はインフルエンザなどの感染症が広がりやすいため、感染対策や感染症流行時の延期の有無などを事前に話し合っておくことがおすすめです。
また、会場の広さなどによって、クラスによって開催日を分ける園や、幼児クラスから実施する園もあります。
◎お遊戯会との違いは?
「生活発表会」と「お遊戯会」に明確な違いはなく、園の方針や伝統などで、呼び方が異なります。ただし、名称によって受ける印象や、重視するポイントに少し差が見られることがあります。
■名称によるニュアンスの違い
| お遊戯会/学芸会 | 衣装や舞台演出に力を入れ、劇やダンスなどを発表する |
| 生活発表会/生活展 | 日々の遊びや生活の延長として、こどもの成長や取り組む過程に焦点を当てる |
| 成果発表会/表現発表会 | こどもの発達段階に応じた表現活動を見てもらう場 |
近年はこどもの主体性を大切にする価値観が強くなり、こども達の興味関心があるテーマを題材にする園も増えていることから、生活発表会の名称を用いる園が増えている傾向があります。
◆【年齢別】生活発表会のプログラム内容アイデア
この章では、プログラム内容のアイデアを年齢別に紹介します。
◎プログラム内容を考えるヒント
どの学年にも共通して、クラスのこども達の雰囲気や、日常の遊びをヒントに内容を考えると、関心を持ってもらいやすくなります。
・「歌が好き」「体を動かすのが好き」など、クラスのこども達の個性を考慮する
・ブームの遊びや興味関心をヒントに題材を選ぶ(例:保育園ごっこがブーム→園生活をテーマにした劇、おばけに興味がある→おばけの衣装を製作してダンス など)
また、会の進行上、他のクラスと似たプログラムにならないように配慮が必要な場合もあります。他のクラスの担任にどんな内容を検討しているか聞いたり、園長・主任保育士などに相談したりしながら進めると安心です。
◎0歳児・1歳児クラスのプログラム
0歳児・1歳児は、大勢の観客を前にすると不安になり、泣いてしまうこともよくあります。普段の姿や保育士との日常の関わりなど、こども達が安心して楽しく過ごせるようなプログラムを考えてみましょう。
もし泣いてしまっても、保育士が抱っこして参加したり、会場や内容によっては保護者と一緒に参加する形をとったりしても良いでしょう。
■お名前呼び
保育士がこども達の名前を呼び、手を挙げたり返事をしたりする姿を見てもらいます。園の保育の様子が伝わり、保護者も園生活のイメージがわきます。
■簡単な手遊び歌・楽器遊び
普段の保育で行っている手遊びを見てもらうのも良いでしょう。曲に合わせたかぶりものなどを用意してもかわいらしいですね。
【手遊び歌の例】
・どんぐりころころ
・きらきらぼし
・とんとんとんとん ひげじいさん
■体操・ダンス
「どうぶつたいそう1・2・3」「ピカピカブー」など、普段取り組んでいる体操やダンスを披露します。
■親子参加型のふれあい遊び
保護者と一緒に楽しむふれあい遊びは、こども達も安心して過ごせるのでおすすめです。保護者にとっても、家庭での遊びのヒントになります。
【ふれあい遊び曲の例】
・いっぽんばしこちょこちょ
・あたまかたひざぽん
・バスにのって
◎2歳児・3歳児クラスのプログラム
見立て遊びやごっこ遊びを楽しむこども達が増えてきます。言葉が増える時期でもあるため、掛け合いなどのやり取りのある内容を入れると、よりこどもたちが主体的に参加できるでしょう。
■見立て遊び・ごっこ遊び
動物や乗り物になりきって表現します。「バスに乗って出発進行!」など、簡単なストーリーをつけると想像力がふくらみ、こどもたちも楽しんで参加できます。
■繰り返しが多い内容の劇
言葉や動きの繰り返しが多い絵本を題材にした劇は理解しやすく、安心して取り組めます。「うんとこしょ、どっこいしょ」などの掛け声は、会場に一体感が出て盛り上がりますよ。
【劇の題材例】
・おおきなかぶ
・どうぞのいす
・てぶくろ
■歌や簡単な合奏
鈴・カスタネット・タンバリンなど扱いやすい楽器を使い、曲に合わせて音を鳴らすことを楽しみます。マラカスやカスタネットなどの簡単な楽器を、こども達と一緒に作っても良いですね。
■体操・ダンス
普段から取り組んでいる曲のほか、こども達が好きな歌に、簡単な振り付けをつけても楽しめます。
【人気のダンス曲】
・エビカニクス
・パプリカ
・勇気100%
◎4歳児・5歳児クラスのプログラム
4歳頃からは社会性が発達する時期です。生活発表会を通して、友達と音や動きをそろえる経験は、こども達が成長するチャンスになります。また、自分たちで意見を出し合いながら進めることで主体性が育まれ、やりきったあとの達成感も大きくなるでしょう。
■劇・オペレッタ
セリフを覚えるだけでなく、動きの流れや、必要な小道具を一緒に作ったりします。5歳児では、こども達のアイデアを取り入れたオリジナルの創作劇に挑戦してみるのも良いですね。
オペレッタは、歌・踊り・セリフを組み合わせ、音楽に合わせて物語を進めます。
練習中に意見がぶつかることもあるかもしれませんが、それを乗り越えて本番をやり遂げた経験は大きな自信につながります。
【劇・オペレッタの題材例】
・桃太郎
・ブレーメンの音楽隊
・ライオンキング
■合唱・合奏
こども達が好きな歌はもちろん、少し音程が難しい曲や、歌詞が感動的な歌に挑戦しても良いですね。
合奏はタンバリンやカスタネットのほか、次のような楽器の演奏を検討しても良いでしょう。
・鍵盤ハーモニカ
・太鼓
・鉄琴・木琴
・トライアングル
・ミュージックベル(ハンドベル)
取り組み始めは難しさを感じることがありますが、音がそろったときに味わう達成感はこどもたちの大きな喜びにつながります。
■ファッションショー
こども達と衣装を作り、完成したものを着用してステージを歩きます。それぞれの衣装のポイントを発表したり、最後はクラス全員で集合して、歌やダンスを披露したりしても良いですね。
◆生活発表会を成功させる準備の進め方
ここからは、生活発表会の準備の進め方を紹介します。
◎日程調整は1年前~年度始めに行う
生活発表会を行う会場によって、日程調整を行う時期が異なります。
市民会館などの外部ホールを借りる場合は、希望時期の1年前から抽選が行われることもあります。希望の時期に会場がとれなかった場合は、別の時期に行うことや場所の変更の検討も必要です。園内で行う場合でも、年度初めの4月に年間行事計画として日程を確定させて、保護者に周知する園が多いです。
◎プログラム計画は3か月前を目安に始めよう
プログラムの内容は、本番の約3か月前から検討してみましょう。あまり早くから練習を進めると、本番までに意欲が落ちたり、こどもの興味が変わってしまったりする可能性があるため、注意が必要です。園の方針によってスケジュールが前後するため、事前に確認してください。
■準備スケジュールの目安
【3か月前:プログラム内容の検討】
こどもたちの遊び方や興味のあることを観察し、それを生かせる題材を選びます。4・5歳児クラスであれば、こども達とどんな内容がいいか相談するのも良いでしょう。必要に応じて、劇の台本や合奏の楽譜を作成します。
【2か月前:導入~展開】
こども達に生活発表会で行うプログラムの内容を伝えます。絵本の読み聞かせなどを通して、自然にこども達が世界観を感じられるように工夫が必要です。劇や合奏では配役を決めたり、動きのアイデアを出したりしましょう。遊びの延長として楽しめるよう、こども達のペースを大切にします。
【1か月前:展開~仕上げ】
部分練習だけでなく、通しの練習を取り入れていきます。本番の数週間前には予行練習を行い、衣装を身につけて、ステージでの立ち位置を確認してみましょう。こども達の様子次第で、動きやセリフを変更するなど、柔軟に対応します。
「もっと良くなるはず」と指導に熱が入ることもあるかもしれませんが、生活発表会は保育士や観客のために行うものではなく、こども達の園での様子を見てもらうものです。安心して本番に臨めるように、褒めることを意識して自信を高めていきましょう。
◎生活発表会の指導案作成ポイント
指導案を作成するときは、本番に至るまでの過程で、どんな育ちがあるのかを明確にすることが大切です。「プログラムを通してどんな経験をしてほしいか」「友達とどのように関わってほしいか」などの、ねらいがぶれないように意識しましょう。
また、予想されるこどもの姿に対して、保育士がどのような環境設定・声かけなどを行うか、事前にイメージしておくことも大事です。
◎生活発表会の衣装と小道具のアイデア
衣装の用意を保護者にお願いする場合は「白の長袖に黒の長ズボン」など、用意しやすいものをお願いするのが安心です。柄の可否や生地などは、保護者が特に気になるポイントなので「ワンポイントOKです」「トレーナーでもTシャツでも大丈夫です」などと記載しておくと、用意しやすくなります。
衣装や小道具の作成は、100円ショップの素材や廃材など、身近なものを工夫して作るのがおすすめです。職員や保護者の負担が大きくなりすぎないように気をつけましょう。製作活動として、こども達と一緒に作っても良いですね。
◆生活発表会の保護者への案内と配慮
こども達の姿を気持ちよく観覧してもらうための環境作りも、園の信頼につながります。ここからは、保護者への案内や配慮について紹介します。
◎プログラムや招待状の作成
生活発表会の日程は、年度始めに年間予定表で伝えていることも多いですが、2か月前頃を目安に、おたよりなどで詳しい時間をお知らせします。
演目の順番・内容が記載されたプログラムや招待状は、本番の1週間前〜10日前を目安に配布できるよう準備しましょう。直前すぎると保護者が会の流れや内容が分からず不安になり、早すぎると紛失しやすくなるため、この時期がちょうど良いとされています。
プログラムや招待状には日時や場所のほか、プログラムの見どころや、こども達の練習の様子を書くと、会への期待が高まります。また、演目によってはこども達が並ぶ順番などが事前に周知されていると、保護者としては写真が撮りやすくありがたいです。
◎観覧マナーと撮影ルール
トラブルを防ぐためには、観覧マナーと撮影ルールを事前にまとめ、しっかり周知することが大切です。
近年はスマートフォンやSNSの普及により、撮影をめぐるトラブルが増えています。特に、他のこどもが写った写真や動画を許可なくSNSに投稿することは、個人情報保護の観点から大きな問題になります。「SNSへの投稿は禁止」「撮影は自席からのみ」「三脚は使用しない」など、具体的なルールを事前の手紙やプログラム、会場掲示で伝えましょう。
◎当日のトラブル対応
■体調不良で欠席や早退した子がいたら
参加できなかったことで子や保護者が落ち込んでいる場合があるので、翌日以降に優しく声をかけます。参加できなかった子には、保育中に衣装を着て写真を撮ったり、クラスで遊びの延長として「ミニ発表会」を楽しんだりしても良いですね。
保護者には練習中の様子を話して写真を見せるなど、発表会までの過程を共有すると喜ばれます。
■本番で固まってしまう子がいたら
少し様子を見守ったあと、保育士がそばに立って軽く手を添える、「大丈夫だよ」と声をかけるなど、こどもが安心できる対応をします。立っているだけ、友達と一緒に動くだけなど、こどもができる範囲で参加できればOKと考えることも大切です。
保護者が落ち込んでしまう場合もあるので「ステージに立てましたね」など、できた部分をしっかりと伝え、事前の練習でのがんばりを伝えましょう。
◎終了後のフォローとお礼
保護者は予定を調整したり、衣装を用意したりと、会のために様々な形で協力しています。生活発表会の終了後や次の登園日に、改めて「ご参加と衣装のご用意、ありがとうございました」と、感謝を伝えましょう。
また、舞台裏の様子など、保護者からは見えない場面を写真やおたよりで伝えると、よりこども達の成長を感じられます。
◆まとめ:生活発表会はこども達の成長の機会
生活発表会で友達と協力し、一つのことをやり遂げる経験を通して、こども達は大きく成長します。保護者は会への参加を通して、園の方針や保育への理解にもつながるでしょう。
日頃のこども達の遊びや様子を観察し、興味関心のあるテーマで発表内容を決めると、より主体性を持って練習に取り組めます。保育士の皆さんもこども達と楽しみながら、準備や練習を進めて行ってくださいね。
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