「いってきます!」と元気に手を振って送迎バスに乗り込んだ子どもたち。その安全は、私たち園の職員にとって最も優先すべき責務です。しかし、もしその送迎バスが、予測不能な事故や突然の災害に巻き込まれたら…?
考えたくない事態ですが、万が一の際にパニックにならず、的確な判断と行動で園児の命を守るためには、具体的で実践的な緊急時マニュアルと日頃の備えが不可欠です。この記事では、送迎バスが事故や災害に遭遇したという緊急事態を想定し、園児の命を守るための初期対応から、保護者への連絡方法、そして平時から準備しておくべきことまでを、体系的に解説します。
目次
まず何をすべきか?事故・災害発生直後の初期対応3ステップ
緊急事態発生時、最初の数分間の行動が園児の運命を分けます。パニックに陥らず、冷静に行動するために、以下の3つのステップを徹底してください。
ステップ1:自身の安全確保と状況把握
まず、運転手や添乗員自身の安全を確保します。自身が負傷してしまっては、園児を守ることはできません。落ち着いて、以下の点を確認します。
・車両の状況:エンジンは停止しているか、火災や燃料漏れの危険はないか。
・周囲の状況:後続車による二次災害の危険はないか、安全な場所に停車できているか。
・自身の負傷の有無:動けるか、出血などはないか。
ステップ2:園児の安全確保と安否確認
次に、最優先で園児の安全を確保します。
・落ち着かせる
「先生がいるから大丈夫だよ」と優しく、且つ毅然とした態度で声をかけ、園児たちを落ち着かせます。
・安否確認
一人ひとりの名前を呼び、意識の有無、目に見える怪我がないかを確認します。出血がある場合は、清潔なハンカチなどで圧迫止血を行います。
・安全な場所への避難
車内に危険がある場合(火災、車両の不安定化など)や、二次災害の危険性が高い場合は、安全な場所(歩道、空き地など)へ避難誘導します。その際、絶対に園児だけで道路を横断させないでください。
ステップ3:外部への救助要請・連絡
園児の安全が確保できたら、速やかに外部へ連絡します。
・119番(救急/消防):怪我人がいる場合、火災が発生している場合。
・110番(警察):交通事故の場合。
・園への連絡:園長や本部に第一報を入れる。
【重要ポイント】連絡する際は、慌てず、正確に以下の情報を伝えてください。
・発生場所:具体的な住所、目印となる建物など。
・状況:「事故」か「災害」か、車両の状況、負傷者の人数と状態。
・園児の人数:バスに乗っていた園児の総数。
・連絡者の氏名と連絡先。
【状況別】具体的な対応手順
事故と災害では、取るべき行動が少し異なります。それぞれのケースでの具体的な対応を理解しておきましょう。
【事故編】交通事故に遭遇した場合
1,負傷者の救護:負傷者がいる場合は、可能な範囲で応急手当を行います。むやみに動かさず、救急隊の到着を待ちます。
2,二次災害の防止:ハザードランプを点灯させ、発煙筒や停止表示器材を車両後方に設置します。
3,警察への連絡と実況見分への協力:警察の指示に従い、事故状況を正確に説明します。
4,園への継続的な状況報告:園と連携し、指示を仰ぎながら対応を進めます。
【災害編】地震・台風・大雪などに遭遇した場合
1,情報収集:スマートフォンやカーラジオで、最新の災害情報(震度、警報、交通情報など)を収集します。
2,安全な待機場所の確保:原則として、周囲の安全が確認できれば車内待機が安全な場合もあります。しかし、津波の危険がある場合は高台へ、土砂災害の危険がある場合は斜面から離れた場所へ速やかに避難します。
3,園との連絡/避難経路の確認:園と連絡を取り、園に戻るのか、最寄りの避難所へ向かうのか、指示を受けます。道路の寸断なども想定し、安全なルートを確認しながら行動します。
4,備蓄品の活用:バスに搭載している防災グッズ(水、食料、簡易トイレ、毛布など)を活用し、救助を待ちます。
最優先事項:園児の安全確保と心のケア
緊急時、子どもたちは想像以上の不安と恐怖を感じています。身体の安全確保はもちろん、心のケアも非常に重要です。
・常に声をかけ続ける:「大丈夫だよ」「みんな一緒だからね」と安心感を与える言葉をかけ続けます。
・手をつなぐ/抱きしめる:スキンシップは、子どもの不安を和らげるのに非常に効果的です。
・体調の変化に注意:恐怖で体調を崩す子もいます。顔色や呼吸などを注意深く観察してください。
・不安を煽る情報を伝えない:子どもたちの前で、ネガティブな会話や憶測を話すのは避けましょう。
保護者への連絡と対応 迅速・正確・誠実に
保護者の心配は計り知れません。連絡体制をいかに迅速かつ正確に構築できるかが、園の信頼を左右します。
連絡の基本原則
・一元的な情報発信:園の対策本部(園長など)から、一元的に情報を発信します。現場の職員が個別に保護者へ連絡するのは、情報が錯綜する原因となるため避けてください。
・事実のみを伝える:不確定な情報や憶測は伝えず、現時点で分かっている事実のみを冷静に伝えます。
・今後の見通しを伝える:「〇時に再度連絡します」「現在、〇〇へ避難しています」など、次のアクションや今後の見通しを伝えることで、保護者の不安を軽減します。
連絡手段の確保と課題
従来の電話連絡網では、回線がパンクしたり、繋がらない家庭が出たりする可能性があります。また、職員が電話対応に追われ、本来やるべき園児のケアや安全確保がおろそかになる危険性も否めません。
このような課題を解決し、緊急時にこそ迅速・確実な連絡を実現するために、ICTシステムの活用が非常に有効です。
例えば、「園支援システム+バスキャッチ」のようなサービスを導入していれば、以下のような対応が可能になります。
・保護者への一斉配信
事前に登録された保護者全員に、安否情報や避難場所の情報を一斉に、かつ瞬時に伝えることができます。電話が繋がらない状況でも、情報を届けられる可能性が高まります。
・バスのリアルタイム位置情報共有
GPS機能により、バスが今どこにいるのかを保護者と園がリアルタイムで把握できます。事故や災害でバスが動けなくなった際も、正確な場所をすぐに特定でき、救助や迎えに役立ちます。
・保護者からの既読確認機能
園から配信したお知らせを保護者が読んだかどうかが分かるため、安否確認や情報伝達の確実性が向上します。
緊急時の連絡手段を複数確保しておくことは、現代の園運営における危機管理の基本と言えるでしょう。「園支援システム+バスキャッチ」のようなツールは、平時の業務効率化だけでなく、こうした万が一の事態において、園児と保護者、そして職員を守るための強力なインフラとなり得ます。
日頃からの備えが重要!事前対策6つのチェックリスト
いざという時に行動できるかどうかは、日頃の備えにかかっています。以下のリストを参考に、定期的に体制を見直すことも大切です。
1,緊急時マニュアルの作成と共有:事故・災害別の対応フロー、連絡体制、役割分担を明記したマニュアルを作成し、全職員・バス運転手で共有していますか?
2,定期的な研修と避難訓練の実施:マニュアルを形骸化させないため、具体的なシナリオを想定した実践的な訓練を定期的に行っていますか?
3,緊急連絡網の整備と定期的な更新:保護者、職員、関係機関(警察、消防、自治体など)の連絡先を整備し、定期的に更新していますか?
4,送迎バスへの備蓄品の搭載:防災グッズ(救急セット、水、非常食、簡易トイレ、毛布、懐中電灯など)をバスに常備していますか?
5,バス運行ルートの危険箇所ハザードマップ作成:冠水しやすい場所、崖崩れの危険がある場所などを事前に把握し、地図上で共有していますか?
6,ICTシステムの導入と活用訓練:保護者への一斉連絡システムなどを導入し、緊急時に全員がスムーズに使えるよう訓練していますか?
まとめ:備えあれば憂いなし。園全体の安全意識で園児を守る
送迎バスの事故や災害は、決して他人事ではありません。しかし、事前にしっかりと対策を講じ、緊急時の対応フローを確立しておくことで、被害を最小限に食い止め、大切な園児の命を守ることは可能です。
本記事でご紹介したマニュアルを参考に、ぜひ貴園の安全対策を見直し、改善するきっかけとしてください。最も重要なのは、マニュアルを作成して終わりにするのではなく、全職員が「自分ごと」として捉え、定期的な訓練を通じていつでも動けるようにしておくことです。
園全体の高い安全意識と万全の備えで、子どもたちの笑顔と未来を守りましょう。
が
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